今回は、空港のオペレーション業務の話をします。
私はオペレーションと呼んでますが、航空会社によっては呼び方が異なります。
呼びかた例
- 航務
- オペレーション
- ステーション
だいたい上記3つの呼び方をしています。
ステーションオペレーションと呼ぶ会社もあるみたい。
このブログではオペレーションと表記しています。
私も数年配属されたことがありますが、「何しているの?」と聞かれることが多い目立たない部署!
私自身も入社時は、オペレーション業務にまったく興味がありませんでした。
しかし知れば知るほど興味深い部署だと知って、異動願いを出し異動が決定!
- オペレーション業務とは?
- 勤務体制や給料について
今や女性にも人気のオペレーション業務!
オペレーション業務を経験することで、より飛行機について詳しくなれますよ。
実際に働いていた筆者が、オペレーション業務の内容についてまとめてみました。
オペレーションの仕事のこと教えてよ
「どんなことしているの?」と色々な人に聞かれるけど、上手く伝えれないのよね・・・
オペレーション業務は何しているのか?
まずオペレーション業務は、大きく分けて3つの仕事をしています。
- 運航支援(パイロットと飛行ルート・高度・燃料・天候などの確認)
- 作業工程管理(お客様の人数や貨物の量から、搭乗開始時刻や遅れの理由を確認)
- ロードコントロール(旅客・貨物などの重量・重心のバランス調整)
全て社内の資格制であり、全ての資格を取るまでに1年以上かかることもあります。
小規模な地方空港でも、OJTを含めると全ての資格を網羅するまでに半年程度かかります。
外資系航空会社を担当する場合、作業工程とロードコントロールのみ担当する場合もあります。
では、それぞれ詳しく説明していきましょう。
運航支援
運航支援業務は、主にパイロットとのやりとりをします。
どんな事をやりとりをしているかというと
- 飛行機の飛ぶルートや高度のアドバイス
- 燃料について
- お客様情報
- 天候などの確認
その他にも色々と話しますが、ディスパッチャーが作成した飛行計画に基づいてパイロットとブリーフィングをしています。
今日の作られているプランで、揺れのレポートは入ってますか?
上昇する際は、雲が多い為揺れのレポートが入っています。そこを抜けたら、その先は概ね良好です。
そか。そしたらベルトサイン消灯までに時間がかかる可能性があるかもな~
まぁこんな感じで対面ブリーフィングをしたり。
今外部点検をしていましたが、○○の点の不具合が発生しています。整備と確認を取りたいです。
了解です。整備に伝えます。
と無線で言われたりします。
次の便までに時間がある場合は、事務所で対面でブリーフィングをすることもありますが、
時間がない時は、天気や飛行ルートの揺れについても無線でやりとりしています。
また飛んでいる飛行機から、無線で連絡がくることもあります。
空港周辺の雷はどんな感じですか?
雷は空港の東に抜けていっています。5分ほど前から、着陸を再開しましたが、空港周辺は着陸待ちの航空機が他社を含めてまだ5機あります。上空待機を指示されていますので、そちらの便も15~20分は上空待機を指示される可能性があります。
わかりました。また何か新しい情報が入り次第また教えて下さい。
ざっとこんな感じですね。
天気が悪いと、とても忙しい業務でした。
初めの頃は、上手く伝えられなくて怒られたりもしました…。
ちなみにこの無線をやり取りするためには、航空無線の国家資格が必要です!
パイロットと関りが深い
運航支援業務は、このようにパイロットとのやり取りが中心です。
よく事務所に来るパイロットと曲者パイロットのことは、自然と顔と名前を覚えましたね。
「うわ~今日のキャプテンあの人だ~!話したくない!」
なんて、同じ部署の人と話したりしていました。
また毎月顔を合わせていくうちに仲良しになり、みんなでご飯を食べに行くこともありましたね。
オペレーション部門は今でこそ女性が増えましたが、昔は男性が多い部署だったので、女性は特に可愛がられました。
もっと勉強したら、国家資格も取れる!
ある程度運航支援として業務したら、飛行実施計画書という飛行機のプランを作れる「運航管理者(ディスパッチャー)」の国家資格を取るチャンスが与えられます。
この資格はとても大変です。
合格するのに、1年以上かかりますね~!
私は持っていません♪
JALやANAなど主要航空会社は、羽田空港の第一ビルにて飛行計画書を作っています。
各空港の運航支援者は、運航管理者が作成した飛行計画書に疑問を感じたら電話でやりとりしています。
しかし、こちらから電話をする前に運航管理者から空港に電話が来ることもあります。
「このような意図で、飛行計画を作成しています。」
「到着地の天候が悪くなったので、新しい飛行計画を作りました。パイロットに説明してください。」
スタンダードのプランだと全く問題ないのですが、いつもと違う場合パイロットに説明するのは各空港のオペレーション担当です。
それでもパイロットが納得しない場合は、直接運航管理者と電話でやりとりをしてもらっています。
JAL trico内にグランドスタッフからオペレーションに異動になり、女性ディスパッチャーになった人のコラムがあるので、興味がある人はご覧ください。
作業工程管理
作業工程管理は、搭乗時刻を決めたり遅れた場合の理由を確認する業務です。
飛行機が到着したら、電卓片手に逆算して搭乗時刻の時間を計算します。
- 到着便のお客様の人数
- 機内清掃時間
- 整備箇所の有無
- 出発便のお客様の人数
ざっとこれらを確認して、機内案内の時間を決めています。
到着してから出発までの標準時間は、飛行機の機種毎やお客様の数にて定められています。
その標準時間を当てはめて、お客様が機内に入る時間を計算しています。
ちなみに飛行機の出発時間は、飛行機が動き出す時間です。
出発の時間が過ぎている時には、どうして遅れているかも分析します。
飛行機が遅れる理由は、「お客様が搭乗口に来るのが遅い」だけではなく、
貨物の量が普段より多かったり(特にお中元やお歳暮の時期は大変)、お客様の荷物で長さや大きさが極端に大きい荷物が多かったり(スキーの大会やサーフィンの大会の時)すると、貨物室の搭載に時間がかかります。
また機内案内時刻になったのにも関わらず案内が遅れている時は、整備作業が発生したり
機内で、パイロットとCAのブリーフィングが長引いたりしていることもあります。
滑走路や航空路が混雑していて、駐機場で待機の指示を受ける場合もあります。
電卓必須!
イレギュラー時は地獄
天候事由でイレギュラーになった時の作業工程管理は地獄ですね。
使用する飛行機が到着する前に、暫定の新しい出発時刻を設定しないといけません。
作業工程管理の人が、新しい出発時刻を決めないとお客様にご案内できません!
全ての便がどんどん遅れて行く時は、1人じゃ足りな~い!
私は1日に何便も発着する空港で働いていたので、イレギュラー時は数名で業務分担してしていました。
グランドスタッフは、飛行機が遅れても欠航になっても忙しいのですが、
オペレーション部門の仕事は、飛行機が欠航になった方がラクだったりもします。
そのため台風の時は、予め欠航にしてくれるので助かったりします。
ロードコントロール
ロードコントロールとは、旅客・貨物などの重量・重心のバランス調整をする業務です。
詳しくは、こちらの記事にまとめているのでご覧ください。
飛行機のバランスを管理するのも、オペレーションの業務です。
左右のバランスはどうでもよくて、前後のバランスが重要です。
なるべくお客様のリクエストを優先したいので、貨物の位置でバランス管理をしています。
ですが、それでもどうしても無理な場合はお客様に協力して頂いてます。
勤務体制について
勤務体制は、グランドスタッフと同様でシフト制です。
1日中同じ仕事はしないので、午前中は運航支援、午後はロードコントロールなどといった業務体制になることが多いです。
深夜に旅客便や貨物便が飛んでいる空港は、夜勤もあります。
お肌も体も夜勤明けは、ボロボロになります。
年齢層は?
空港の中核を担う部署になるので、年齢層は幅広いです。
定年前のおじさんも居れば、20代前半の若い女性もいます。
私みたいにグランドスタッフなど他部署からの異動も多く、経験豊かな人が多いです。
各部署とかかわりがある業務なので、その部署に詳しい人がいると助かります。
「この貨物の物量って全て前方に積むことってできるものですか~?」
などと、私も貨物の搭載に関しては、貨物部門から異動してきた人に聞いて勉強していました。
グランドスタッフをしていた頃に比べて、色々な部署の人との関わりを持てましたし、なによりも飛行機の性能に詳しくなりました。
実はこんな業務もしている
全ての空港で実施しているか分かりませんが、私が働いていた空港ではこんな業務も実施していました。
その一部をご紹介します。
パイロットやCAのお弁当の手配
お弁当を作るのは、専門の会社があります。
そしてパイロットやCAのシフトを管理している部署から連絡が来て、前日または当日にお弁当を作ってもらいます。
突然機種が変わって人数変更になった場合、当日のお弁当をオペレーション部門が手配することがあります。
イレギュラー時は連絡漏れも多々あるので、地味に大変な業務です。
たまにパイロットから「お弁当いらないよ~」とくれたりするので、ごはん代が浮くこともあります。
ホテルやタクシーの手配
ステイ先のホテルやタクシーも、基本的にシフトを管理する部門が実施しています。
しかしイレギュラーの際に急遽ステイになった場合は、オペレーション部門に丸投げされていました…。
タクシーも同じです。
空港からホテルに向かうのはすぐ手配可能ですが、翌日の便が決まらないとお迎え時間が決まりません。
シフトを管理する部門も二転三転することがあるので、そのたびにタクシー会社に連絡をして・・・面倒でした!!!!
パイロットのアルコールチェック
アルコールチェックもオペレーション部門の業務です。
アルコールチェック専門の人を雇っている空港もあるみたいですが、私が働いていた空港は運航支援者の業務でした。
毎回変顔をする人もいたし、「おじさんの息かかるから離れた方がいいよ~」なんて言われたり。
乗務終了のパイロットは業務以外の話をしてくれることもあり、憩いの場って感じでした。
ピーと音が鳴った場合、とっても焦りましたけどね。
(単なる機器異常だった!)
空港内を車で運転
実は、オペレーション部門に異動した際にCAB(国土交通省航空局)が実施している空港内(ランプ内)で運転する試験を受けました。
勿論、普通自動車免許を持っていないと運転出来ませんよ~!
空港内(ランプ内)を運転する際は、飛行機が優先になります。
制限速度だったり、交差する道の優先度だったりと空港の特徴を基に問題が作られています。
飛行機がプッシュバックする際の見分け方なども勉強しましたね。
無事合格をしてランプパスをもらいましたが、空港内で運転したのは数回だけでした。(しかも助席に同僚を乗せて!)
オペレーション部門は、まれに機内にいるパイロットにバランスシートや飛行計画を持っていく場合があります。
事務所から近い駐機場だと歩いて行けるのでいいのですが、距離がある場合は車で行く必要があります。
その為オペレーション部門に配属されたら、空港内での運転許可の資格を取得する必要があります。
運転するの苦手です。
まとめ:『縁の下の力持ち!女性も活躍するオペレーション部門』
航空会社の花形はパイロット、CA、その次に整備やグランドスタッフが挙がると思います。
「縁の下の力持ち」「地上のパイロット」と言われるオペレーション部門の仕事も、とても魅力的ですよ。
この仕事は、デスクワーク中心で接客業でもありません。
ただ毎日お天気と向き合わないといけないのが最初は辛いですが、1年経てばなんとなくわかってくるものです。
普段の生活でも、天気図や雨雲レーダーを見て行動するようになったのは職業病ですね。
オペレーション業務に就いている人葉、空港周辺の天気がわかる(METAR/TAF)スマホアプリを持っている人も多いのでは?
最初からオペレーションに配属されるパターンもありますが、他の空港業務に従事したあとに、異動も十分ありえる部署です。
個人的には、グランドスタッフを経験した後にオペレーションに異動してよかったなと思いました。
オペレーション業務は、短時間で決断を迫られる場面が多いです。
その中で、お客様に寄り添った判断を意識するようになったのもグランドスタッフを経験したお陰だと感じています。
この記事を読んで、少しでもオペレーション業務に興味を持ってくれたら嬉しいです。
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