飛行機の出発時間はどのことを指すかご存じですか。
同じく到着時間は、いつの事を言うのでしょうか?
よくよく考えたら、意外と分からない人も多いかもしれません。
航空会社が示している出発や到着時刻の意味を知る事で、旅行のスケジュールが立てやすくなるし、効率良く行動出来るようになれます。
- 飛行機の出発時間と到着時間とは
- 航空業界の遅延の定義
勘違いして覚えている人も多いので、何を持って「定刻出発、定刻到着」なのでしょうか。
航空会社に勤務経験がある筆者が、飛行機の出発時刻と到着時刻についてお伝えします。
また余談として、時刻表に書かれていることも少し紹介をしています。
今日は飛行機の出発時間と到着時間についてよ
飛行機の出発時間とは?
時刻表などに記載がある出発時間とは、
飛行機が動き出す時間です。
エアライン用語でブロックアウトと言います。
飛行機に乗る際は、まず改札ゲートを通過しますよね。
その後飛行機とターミナルをつないでいるブリッジを通ったり、飛行機までの連絡バスへ乗車します。
飛行機は他の乗り物よりも、扉を閉めてから動き出すまでに色々と準備があります。
まずはCA。日本の航空会社はお客様が全員が座席に着席しているか確認し、機長にその旨報告します。
そして、パイロットは管制官に飛行機が動き出す許可をもらいます。
飛行機の扉が閉まってから、CAの確認事項があったり、パイロットが管制からの許可を得たりするのに約5分かかる事があります。
そして同時に空港で働いているスタッフも、飛行機の扉を閉めたあとブリッジを離脱する操作をしています。
飛行機は扉を閉めてもすぐに動かすことはできません。
飛行機の扉を閉めてから、動き出すまで約5分かかると考えてください。
空港で働く人は、出発時刻の5分前に全ての扉を閉めれるように、逆算して行動しているのです。
例えば、8時30分出発の場合、飛行機の扉は8時25分に閉めれるよう作業をしています。
8時30分出発だからと言って、8時29分に搭乗口に来ても乗れません。
搭乗口には出発時刻の10分前までに来るのが常識ですよ
出発時刻なのに飛行機が動かない
全ての扉が閉まって、いざ出発!となっても、なかなか動かない…そんなこともあります。
お客様に提示している出発時刻を過ぎた場合は、「出発遅延」になることも。
理由は色々あります。
手荷物の搭載が終わっていない
飛行機の扉とは、お客様が乗り降りする飛行機の扉だけではありません。
手荷物や貨物が搭載しているカーゴルームの扉もです。
お客様が全員機内に入っても、カーゴルームへの搭載が終わらないと定刻に出発できません!
貨物やお客様の預ける荷物が多いときは、貨物の扉が予定通り閉まらなくて遅れることがあります。
管制からの待機の指示
次に「管制官から待機の指示」で遅れることがあります。
飛行機は好き勝手に動けません。
「今、離陸待ちの飛行機が10機います。あなたは、11番目。あと10分くらいそこで待機してください。」
「今、滑走路にタヌキが出たから、滑走路の点検をする、結果が分かるまでそのまま待機」
といった内容を、管制官から英語でパイロットに連絡がはいります。
CAやパイロットも細かくアナウンスで情報提供をしてくれるはずです。
悪天候
雪が降っている時は、飛行機の扉が閉まった後に防除雪氷液を散布します。
翼の上に雪が積もったり、氷が付いてしまったら飛行機の性能に大きく影響があります。
また空港で雷がなっているときは、屋外作業を中断をすることもあります。
機材やお客様とのトラブル
全て扉を閉めてから機材トラブルが発生することもあります。
その場合も、出発を待つことになります。
また客室内で事件が起こったり、対応に時間がかかったりするとなかなか出発できません。
飛行機の到着時間とは?
飛行機の到着の時間は、飛行機が
駐機場に停止した時間です。
エアライン用語ではブロックインと言います。
空港に着陸した=到着時刻って思っている人も多いけど違います。
飛行機が予定よりも早く着陸しても、所定の駐機場が空いていない場合もよくあること。
大きな空港だと時間帯によっては、15分間隔で駐機場を使っています。
そのため少しでも前の出発便が遅れたりすると、場合によっては駐機場が空くまでタクシーウェイで待機することもあります。
せっかく早く到着したのなら、お客様も早く降りたいですよね。
他の駐機場が空いたら、急遽駐機場の変更をして対応したりもしています。
「あそこの駐機場が空いているから、入ればいいじゃん!」と思っても、飛行機の機種によってはその駐機場が利用できなかったり、空港との契約上利用する駐機場が決まっていることもあります。
駐機場のアレンジする方も色々と大変なんですよ。
飛行機の遅れの定義
航空会社の遅延の定義は、出発並びに到着が
15分以上の遅れからです。
機材整備など航空会社起因で遅れた場合で、地上交通が間に合わない場合などは、JALやANAは補償をしてもらえることがあります。
また飛行機が遅れたから「遅延証明書」が欲しい場合も、出すことが可能です。
裏を返せば、15分以内の遅れは遅延にカウントされません。
補償や払い戻しなどは、15分以上の遅れが無い場合はしないことが大半です。
時刻表にはどのように表記されているのか
普段時刻表なんてじっくり見ない人が多いわよね。よく見たら面白いのよ。
時刻表には、出発時刻と到着時刻の記載があります。
昔は紙の時刻表がありましたが、最近は全てWeb上ですよね。
添付の画像は内容は少し前のものですが、記載内容は今と変わりませんので
ここで成田⇔伊丹間のJALとANAの時刻表を見比べてみましょう。
JAL3005は、16:55-18:15と所要時間は1時間20分です。
JAL3009は、18:20-19:55と所要時間が1時間35分です。
同じく成田→大阪(伊丹)のANA2177は、16:40-18:05と所要時間は1時間25分です。
ANA2179は、18:05-19:35と所要時間が1時間35分です。
同じ路線なのに、時間帯で所要時間が違うのです!
しかも18時台の方が所要時間が長い。
飛行計画上は、同じルートです。
なぜでしょうか。
まずこの時間は、飛行機に乗っている時間です。
飛んでいる時間ではありません。
つまりこの時間には、
- 飛行機が動き出してから、滑走路までの時間
- 離陸後~着陸までの飛行時間
- 到着地に着陸し、駐機場までの時間
が含まれています。
成田は出発(ブロックアウト)してから滑走路に行くまで、時間を要する空港です。
また18時台は便が多く、通常よりも離陸機が多く混雑している時間帯でもあります。
そして伊丹空港も、夕方は上空が混雑する時間帯です。
そのように各空港に合わせて、適切な時間を割り出してダイヤを組んでいるのです。
紙の時刻表は廃止
日本の多くの航空会社は、紙の時刻表が廃止されました。
WEB上での表記になるので、時刻表をじっくりみる機会は減ってしまいましたね。
個人的には紙の時刻表を見ながら旅の計画を立てるのが楽しみだったので残念です。
まとめ:『飛行機の出発時間と、到着時間を知ることで旅行の計画をスムーズに立てられる』
余談ですが、毎年発表される世界の航空会社の定時運行遵守率ランキングや定刻到着率ランキングには、JALやANAは上位ランクインの常連。
日本を代表する航空会社は、定時出発や到着がある程度担保されているのです。
日本人のまじめなところが、この結果にも影響しているのかもしれませんね。
- 飛行機の出発時間は、飛行機が動き出す時間
- 飛行機の到着時間は、駐機場に止まる時間
- 遅延の定義は、15分以上遅れた場合
出発時刻と到着時刻を意識することで、その後の行動も変わってきますよね。
早く到着できたらラッキー!
飛行機を乗る際は、定時出発にご協力お願い致します。
お客様の協力があってこその定刻出発ね!
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