飛行機に乗る前に、飲食店や航空会社のラウンジなどでお酒を飲むことがありますよね。
機内でもお酒を提供しているので、飛行機の中でお酒を飲むことは問題ありません。
またお酒を飲んでから飛行機に乗るのも大丈夫です。
でも、あまりにもお酒を飲み過ぎて泥酔していたらどうなるのでしょう。
この記事では、
『過度な飲酒をしたお客様は、飛行機に乗れるかどうか』
を焦点に、実際に対応したケースも含めて解説していきます。
酒は飲んでも飲まれるな!
状況によっては人生を棒に振る行為に発展しますので、お酒を飲んでから飛行機に乗る場合は気を付けてくださいね。
筆者は空港で10年以上勤務経験があります。
空港の責任者として対応したケースもご紹介!
泥酔客はお断り?どのくらいなら許容範囲
お酒を飲んでから飛行機に乗ること事は、問題ありません。
夜の便になると、あ~ちょっとお酒臭いな~と思う人を今までに何人も見てきました。
重要なのは、飲酒によるその人の状態です。
過度の飲酒により、人格が変わってしまったり周りに迷惑をかける人がいますよね。
その場合、航空会社の責任者は飛行機の搭乗を拒否する権限があります。
過度の飲酒により、不審な点が見られ、運航の安全を脅かしたり、他の旅客に危害を
及ぼしたり、不安や不快の念を与える可能性がある者をいう
搭乗を拒否をする場合
では、どんな人が飛行機に乗れないでしょうか。
一例を挙げてみました。
- 他のお客様や係員に暴言を吐く
- 他のお客様を不快な気持ちにさせる可能性がある
- しっかり歩けない、コミュニケーションが取れない
お酒を飲んだら態度が大きくなる人、たまにいますよね。
係り員や他のお客様に暴言を吐いたりする場合、飛行機の搭乗をお断りすることも。
飛行機の中は密閉された空間で、離発着時は席の移動もできません。
隣の酔っ払いが大声で暴言を吐いていたら、とても不快な気持ちになりませんか?
呂律が回っていない、立てないうまく歩けない、今すぐ吐き出しそう…そんな人と飛行機に乗りたいですか?
私は嫌ですね。
すぐには搭乗を断らない
航空会社の係員も、すぐに泥酔客=搭乗お断りにすることはしません。
まずは初期対応をした係員から責任者に報告が入ります。
その後、責任者クラスの人がその泥酔者の様子を確認し、飛行機に搭乗できるか判断します。
飛行機の時間まで余裕があるなら、それまでに水を飲んでもらい酔いを醒ましてもらったりと極力搭乗ができるように努めます。
時には係り員の指示に従うなど誓約書を書いて、飛行機に乗せることもあります。
一緒に搭乗する人が、冷静な判断ができ泥酔客の介抱をしてくれる場合は、そのまま乗ってもらう時もあります。
飛行機は地上と比べると空気が薄くアルコールの分解が遅れますので、その人の様子を確認しながら客観的に判断していきます。
最終判断は、その時の責任者がします。
他の係員にも様子を見てもらい、総合的に判断することも。
時には警察に連行されることも
多くの空港には、警察官がいます。
係り員やお客様に暴力をふるった場合は、飛行機に乗せず警察に対応してもらいます。
これはもはや『暴行罪』ですからね。
あまりにも激しい暴言がある場合も、警察に引き渡しします。
当然、警察に連行された場合は予約している便には乗れません。
航空券の取り扱いは?
予約変更が出来ない航空券をお持ちで、泥酔して飛行機の搭乗をお断りされた場合、
当日中なら、そのままの航空券で振替手続きをすることが多いです。
あなたは泥酔しているから予約の便には搭乗できない。次便に変更するが、差額はお客様負担
こんな言葉を言われて素直に納得する人はなかなかいません。(ましてはめちゃめちゃ酔っている人相手)
ここは航空会社の優しさを出してあげることが多いですね。
次の便に無料で変更するので、少しでも酔いを醒まして!と、案内することがあります。
泥酔客が警察に連行されたら、振替の差額は自己負担にしてもらう場合が多いです。
実際にあった出来事や私が対応したケース
ここ数年で起こった、『飛行機×お酒』のトラブル例についてご紹介します。
他のお客様にもとても迷惑をかけていて、警察沙汰になることもしばしば。
世界的にニュースになったり、時には逮捕されたりしています。
泥酔者と同じ飛行機に乗りたくない!
オリンピック選手が大騒ぎ
豪オーストラリアン紙のウェブ版記事などによると、騒ぎを起こしたのは、サッカーと7人制ラグビーの男子代表選手ら。選手らが搭乗した日本航空の飛行機は、2021年7月29日に羽田空港を出発し、約10時間のフライトを経て、翌30日朝に豪シドニーに到着した。
選手らは機内で、お酒を飲んで歌を歌い始め、客室乗務員がマスク着用や着席を求めても拒否した。しかも、機内に保管してあった酒類を勝手に持ち出し、乗務員らが止めても応じなかったという。また、トイレで嘔吐して床などを汚し、トイレが使えなくなったケースもあった。
JCAST ニュース
機内では、CAが常に監視体制と注意喚起に努めていたので、航空法違反で選手らを降機させるなどの判断はされませんでした。
選手以外のオリンピック関係者らが、抑制をしていたとのこと。
当時はコロナ渦ということもあり、機内ではマスク着用を促していましたよね。
同乗した他のお客様からは、クレームもあがっていたとか。
オリンピック選手として、あるまじき行為ですね。
機内で放尿し逮捕
米金融大手ウェルズ・ファーゴのインド部門副代表だった人物が、エア・インディア機内で別の客に向け放尿したとして逮捕された。インド警察が公表した。
2022年11月、ニューヨーク発ニューデリー行きの便で飛行中、ビジネスクラスの女性(72)に向かって突然、排尿した。酔っていたという。
飛行機の機内で酔って放尿し、逮捕されるケースがたびたび発生しています。
地位がある人でも酔うと何をしでかすかわかりませんし、逮捕となるとその地位を失います。
調べてみたら、人に向けて放尿した場合は、到着地で逮捕されるケースが多かったです。
搭乗拒否をした
これは私がグランドスタッフの責任者として働いていた頃の話です。
20時頃の便に乗る男性2名がカウンターに来て手続きを行いました。
2人共お酒を飲んでいる様子で、1人はコミュニケーションもしっかり取れて問題なかったのですが、もう1人はまともに歩けていませんでした。
おまけに泥酔している方は声が大きく、責任者の席からでも会話の内容が丸聞こえ。
暴言はないものの、周りのお客様にも迷惑になるような大声で、お連れの方も都度なだめて対応していました。
「あ~これは、やばいかもな…」と思い、ゲートと最高責任者のインチャージに引継ぎを実施。
その後、泥酔者がトイレにこもって出てこなくなったと連絡があったので、搭乗を取りやめることに。
お連れ様が平謝りをしてくれたのできつく言いませんでしたが、このままの状態では飛行機に乗せることは難しいと伝えました。
念のため最終便で振替手続きを行い、しばらくして様子を確認すると吐いてすっきりしたのか酔いが醒めた様子でした。
その後、最終便に乗って帰っていきました。
お連れ様に同情してしまいました。
まとめ:『自分の適量を知って、飛行機に乗る前の飲酒は控えめに』
お酒を飲んでから飛行機に乗るのは、構いません。
しかし、泥酔までしてしまうと搭乗を拒否する場合があります。
そして酔っ払いは冷静になった後、「酔ってしたことだから、許してくれ」と平謝りするケースが多いのですが、暴言や暴力を行った場合、取り返しのつかないことになります。
警察に引き渡されて事情聴取を受け、場合によっては逮捕される可能性もあります。
今はSNSですぐに拡散されてしまうので、機内での迷惑行為もすぐにネットに流出してしまいます。
くれぐれも飛行機に乗る前と、機内での飲酒はほどほどにしてくださいね。
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