私はオペレーション業務をしていた頃、コックピットに搭乗してパイロットと一緒にフライトをする経験をしました。
何回か経験しましたが、毎回乗客に向けてアナウンスをするタイミングや内容が違っていました。
そこでアナウンスのタイミングや、基調と副操縦士のどちらがアナウンスをするかなど、色々と質問をしてみました。
今回は、その時の話をまとめましたのでご紹介します。
- パイロットのアナウンスについて
- 機長と副操縦士、どちらがアナウンスするのか?
- 個性的なパイロットアナウンス
正直、飛行機に乗りすぎてパイロットのアナウンスはあまり聞いてません。
え~聞きなよ~!
パイロットはアナウンスの訓練をしない!
機内でメインでアナウンスをするのは、CAです。
CAはアナウンスが業務の一部になるので、当然アナウンスの訓練があります。
しかしパイロットは、操縦するのが仕事なのでアナウンスの訓練はありません。
パイロットの訓練に入る前に、地上職の研修でグランドスタッフに配属された人は、そこでアナウンスの訓練があります。
グランドスタッフ経験者は、やっぱりアナウンスが上手だったりするよ!
アナウンス内容は、アドリブ
パイロットのアナウンスの内容は、自由です。
自由といっても、アナウンスブックがある航空会社が多いので、その原稿をそのまま伝えるパイロットがほとんどです。
- 便名と行き先
- 現在の巡航コードや飛んでいる位置
- この先の揺れ
- 到着地の天候
- 到着予定時刻
- 搭乗の御礼
ベテランパイロットや、ユーモアがあるパイロットは、上記の内容を自分なりにアレンジしてアナウンスをしています。
副操縦士がアナウンスする場合は、アナウンスブックの原稿通りが多いです。(アレンジして機長にに色々言われたら嫌だし)
アナウンスのタイミングは自由
パイロットがアナウンスをするタイミングは、
アナウンスをする人が決めています。
多くのパイロットは飛行機が巡航コードに達し、CAがドリンクサービスをしているタイミングでアナウンスをかけています。
しかし中には、お客様が機内に搭乗中や飛行機が駐機場に到着した後にアナウンスをかける人もいます。
また飛行時間が短かったり、飛行ルートで大きな揺れのレポートがある場合、アナウンスよりも操縦に集中するので、そもそもアナウンスをしないこともあります。
アナウンスが出来ない場合は、CAに伝えてCAが代わりにアナウンスをします。
「機長からの報告だと〜」とCAがアナウンスをするのは、パイロットがアナウンス出来ない(もしくはしたくない)事情があるからです。
アナウンスはいつかける派ですか?
サービス中にアナウンスすると、寝てる人とかいるから俺は到着後にアナウンスかけるんだよね〜!
アナウンスの回数も自由
国内線で1~2時間のフライトの場合は、基本的にアナウンスは1回です。
国際線になるとフライトの時間が長いので、早朝や深夜ではない限りは景色のアナウンスをしてくれることも。
パイロットが景色のアナウンスができないときは、CAに景色のアナウンスをしてもらったりしているそうです。
国内線の場合、沖縄線は飛行時間が長いし観光客が多いので景色のアナウンスをすることが多いそうです。
パイロットのアナウンスは信頼度が高まる
飛行中の最高責任者は機長です。
実際に操縦している人のアナウンスがあると安心しませんか?
上空待機や地上待機の場合も、パイロットから現在の状況についてアナウンスがあると、信頼度が高まる気がします。
パイロットは無線で、地上スタッフと交信できるから、CAよりも最新の情報を持ってます。
アナウンスをするのは、機長?副操縦士?
パイロットのアナウンスを聞くと
「操縦席より機長の〇〇です。本日はご搭乗頂きありがとうございます。」
と、機長の場合は名前を伝えてアナウンスをすることがあります。
その為、パイロットのアナウンスは機長がすると思っている人も多いかもしれません。
私もそう思ってました!
でも実際は、副操縦士もアナウンスをしています!
基本的には操縦担当がアナウンスをしている
パイロットのアナウンスは、
操縦担当が実施しています。
まずパイロットには役割分担があります。
- PF(Pilot Flying)=主に操縦を担当
- PM(Pilot Monitoring)=モニターや管制管との交信を担当
機長・副操縦士のどちらかがPFを、もう1人がPMをを担当しています。
副操縦士は気象条件や社内資格などの制約もありますが、PFを担当することも可能です。
しかし割合的には機長がPF、副操縦士がPMを行うことが多いです。
そのためパイロットのアナウンスは、PF担当の機長がしている場面に遭遇する確率が高いですよ。
オペレーションで働いていた時、出発前のブリーフィングでどちらがPFをするか決めている場面をよく見ていました。
特に悪天候の時は、PFは機長になる率が高いです。
そして、PFがアナウンスを担当することを初めて知りました。
だからパイロットのアナウンスは、巡航コードに達してオートパイロットにしてからが多いんですね!
操縦に集中するべき場面では、アナウンスなど他のことをするのは禁止されています。
おもしろアナウンスをご紹介
乗客に喜んでもらえるよう、他の人とは一味違うアナウンスをするパイロットもいます。
YouTubeで見つけた動画を載せてご紹介します。
おもしろアナウンスといえばこの人
パイロットのアナウンスで有名なのが、元ANAで働いていた山形さんです。
山形さんは既にANAを退職されていますが、引退後も講演会や著書を出版し、今ではYouTubeもしている有名な元パイロットです。
「揺れましても、飛行の安全性にはまっっったく影響ございません。」
山形さんのこのフレーズは、飛行機ファンの間では有名ですよね。
「ANAにご搭乗、誠にありがとうございます。お客様の早めのご搭乗、重ねて御礼を申しあげます。当機は完璧な搭乗準備を整えておりますので、間もなく出発できるかと思います。」
「時折、揺りかごのような心地よい揺れが、やがて真っ青の青空、純白のウェディングのような雲が優しく彩ります。」
「できるだけ、気流のよいところだけ選んで飛行しますが、突然、天使のイタズラがあり、強く揺れることもございます。」
こんなアナウンスがかかったら、くすっと笑ってしまいますよね。
山形さんの操縦する飛行機に乗ってみたかったです。
方言アナウンスをするパイロット
山形さんは引退していますが、JALには現役でユーモアあふれるアナウンスをしている人がいます。
このJALの山浦機長は、北海道の小樽市出身のパイロットです。
そのため、北海道を離発着する便に乗務する時は、北海道弁でアナウンスをしています。
「新千歳空港への高度降下途中、雨雲の影響を受けなしてこったら揺らされるってさという、なんまら揺れるところがございますが…」
「お手元のコーヒーなどのお飲み物もかっぱがさないようにお気をつけください。」
「座席前のぺったらこいテーブルは、お使いになりませんときにはじょっぴんかってしまっておいてください。」
私も北海道出身なので、方言アナウンスに愛着が湧きました。
正直、使用している北海道弁は、なんまら以外使ったことないですけどね。
北海道に帰省する際に、当該機長の飛行機に乗ってみたいですね。
ねぇ、かっぱがさないって何?
ひっくり返すってこと。
「その鍋、かっぱがさないようにしなよ~」みたいに使うらしい。
へ~じゃあ、じょっぴんかるって何?
鍵をかける、ロックするという意味。
若者は使わない北海道弁だね!
まとめ:『パイロットのアナウンスは自由度が高い』
パイロットは、直接乗客と顔を合わせることができないからこそアナウンスに個性を出して楽しんでもらったり、感謝の気持ちを込めてお話しするようにしています。
時に厳しい意見をいう人もいますが、業務に支障がない範囲でアナウンスをしています。
- パイロットのアナウンスは、原稿はあるが自由にアレンジ可能
- アナウンスをかけるのは、操縦をしている人が担当している
- 操縦に集中するときはアナウンスができないこともある
- アナウンスで個性を出して、お客様を楽しませているパイロットもいる
皆さんはパイロットのアナウンス、聞いていますか?
ボソボソと何言っているか聞こえなかったり早口すぎて聞き取れないときもありますが、パイロットは操縦が第一です。
アナウンスは大目に見てあげてください。
飛行機に乗った際は、是非パイロットアナウンスにも興味を持ってくれたら更に楽しい飛行機旅行になりますよ。
CAのアナウンスも個性を出す人がいるよね!
櫻井翔と同級生のあの人とか、有名よね!