飛行機が遅れたり、欠航するは大きく分けて天候起因と機材整備起因があります。
しかし時に【機材繰りのため欠航】【飛行機の手配が出来ないため遅れ】となることもあります。
この場合、天候が理由なのか機材整備が理由なのかで補償が変わってきます。
近年はお客様から「機材繰りがわかりにくい」と声を受け「飛行機の手配が出来ないため遅れ」と表現を変えいます。
- 機材繰りの意味
- 機材繰りが起こる理由
- 機材繰り時の補償
- 乗員繰りについて
機材繰りは1日に1回はどこかの空港で発生しています。
これから飛行機に乗る人も、もしかしたら機材繰りに当たってしまう可能性があります。
どういう意味で、どのような補償があるのかを空港で10年以上働いた経験がある筆者がまとめてみました。
ねぇ、機材繰りって何?説明してみて
えっと…機材のやりくりが…上手くできないこと?
機材繰りって何?
飛行機が遅れる理由として、多いのが機材繰り。
機材繰り=使用する飛行機の手配や調整が出来ない
という意味です。
「機材繰り」の意味を、分かりやすく説明出来る新人グランドスタッフは少ないです。
機材の調整がつかない=機材繰りになります。
何かしらの理由で使用予定だった飛行機が足りない、手配に時間がかかり遅れるなどを機材繰りと言います。
なぜ機材繰りが起こるの?
ではどんな時に代替の飛行機が用意出来なくて、機材繰りが発生するのでしょうか?
例を挙げて説明してみましょう。
飛行機のパターン
①福岡→新千歳 12:00発→14:00着
②新千歳→羽田 15:00発→16:30着
③羽田→伊丹 17:30発→18:30着
と、します。
大型の飛行機で、インターバルは50分必要と仮定します。
①福岡→新千歳のフライトの際、新千歳空港が大雪でなかなか空港に降りれず到着が1時間遅れました。
すると、次のフライトである②新千歳→羽田も当然遅40分~1時間は遅れます。
この②の場合は、使用する飛行機が新千歳空港が大雪の為、到着が遅れていると天候起因での遅れになります。
まぁここまではよくあること。
問題は、③のフライトです。
③羽田→伊丹のフライトは、このままの40分~1時間は遅れます。
なぜ遅れるか?
それは新千歳空港が雪だからですよね。
そこで飛行機のダイヤを組んでいる部署は考えます。
羽田→伊丹をこのまま遅れさせて就航させるか、他の機材を使って就航できるか検討します。
そして、②新千歳→羽田の機材より早く到着しそうな機材を使って、運航することにしました。
しかしその飛行機を使っても③羽田→伊丹は、20分程遅れがでてしまいます。
その結果、機材繰りで遅れるに繋がります。
これが機材アレンジをした結果、定刻で出発出来るのであれば機材繰りにならずにすみます。
このように飛行機のダイヤを組んでいる部署も、遅延を最小限に出来るようにアレンジをしています。
羽田空港の場合、スタンバイの機材と乗員がいるので飛行機のアレンジがしやすいのですが、
LCCはそもそもの保有機が少ない為、地方空港はスタンバイ機がないためアレンジが難しいのが現実です。
機材繰りで遅れて就航できることもあれば、飛行機の手配が出来なくて欠航することもあります。
申し訳ない気持ちでいっぱい…
飛行機は、全国各地を飛んでいます。
同じ飛行機が福岡⇔東京を終日飛んでいるわけではありません。
特に地方空港は欠航になりやすい
機材繰りで欠航になりやすいのは、地方空港。
前日の夜に飛行機が飛ばない場合、翌日の地方空港発の始発便は欠航になる場合がほとんどです。
特に大雪が降った翌日は、前日の段階で「使用する飛行機の手配ができないため」などを理由に欠航にしてしまいます。
この場合、本来の原因はその空港の降雪が理由なので補償がない場合もあります。
詳しくは航空会社に問い合わせしてみてください。
補償は?
基本的に機材繰りの場合、ANAやJALなど大手航空会社は補償がある場合が多いです。
しかしその時の状況に応じてなので、一概には言えません。
また機材繰りの理由が天候なのか、それとも機材整備なのかによっても対処方法が異なってきます。
JALやANAの場合は機材繰りで1時間以上遅れた際は、
当日出発地空港で使える1000円分の飲食券を配布しています。
深夜に到着になった場合は、交通費が後日領収書清算ができるリーフレットを渡されることもあります。
ただし金額の上限は決まっています。
なお、LCCは保証がないんです。
予約の変更は可能?
遅延の定義が15分以上の遅れです。
そのため15分以上出発が遅れた場合だと、ANAやJALあとはMCCと呼ばれるソラシドやエアドゥなどは、機材繰りで飛行機が遅れる場合、前後の便に予約変更が可能です。
もちろん、払い戻しも手数料なしで可能ですよ。
番外編!機材だけではなく、乗員繰りもある
まれに乗員繰りということもあります。
名前の通り、パイロットやCAの手配出来ないという事象です。
ANAやJALには東京と大阪には、スタンバイのパイロットやCAがいる場合がありますが、その他の地域にはいない事が大半です。
そのため、地方発の便で乗員繰りが起因で飛行機が遅れる事象が発生することがありますね。
なぜ乗員繰りが起こる?
1つは、乗務予定のパイロットやCAの体調が悪くなった場合です。
人間だし、体調が悪くなる時がありますよね。
しかし私が勤務していた頃は、体調不良での乗員繰りはほぼ無かったです。
パイロットもCAも健康には人一倍気にかけていただろうね
またもう1つ乗員繰りが起こる理由として、運航する飛行機と乗務員のスケジュールは一致しない事が挙げられます。
飛行機はあるのに、運航乗務員がいない!=乗員繰りという事が起きます。
こちらも例をあげて説明しますね。
飛行機のスケジュール
①羽田→沖縄(JA717A)/②沖縄→伊丹(JA717A)
※②を乗務するパイロットは沖縄にいる。
パイロットのスケジュール
①羽田→沖縄(JA717A)/③沖縄→羽田(JA702A)
③の飛行機は沖縄にあり、パイロットは飛行機の乗り換えをしないとならない。
上記の場合、
①の羽田→沖縄が遅れた場合、②の沖縄→伊丹は飛行機の到着が遅れているので、当然遅れますよね。
そして、③沖縄→羽田は、飛行機は沖縄にあるのに乗務する人は①に乗っているので遅れてしまう!
ということが起きます。
もちろんCAも同様に、このような事が起きます。
LCCなどは、乗員繰りで欠航!という事もありますが、JALやANAの場合は多少の遅れもカバーできるように、飛行機の乗り換えがある際はゆとりを持ったスケジュールを組んではいます。
当日の急遽のスケジュールチェンジもして、定刻で出発させようと努力をします。
しかしながらパイロットやCAもシフト制ですし、そう簡単にスケジュールを変えられないのも事実。
航空会社も最大限の努力をしていますので、ご承知を。
まとめ:『機材繰りは、企業努力である』
飛行機を欠航させないために、飛行機や乗員をアレンジをした。
だけど遅れてしまった。
それが機材繰り、乗員繰りになるのです。
- 機材繰りは、飛行機のスケジュールをアレンジした結果起こる
- 機材繰りで15分以上遅れたら、手数料なしで振替や払い戻しが可能
- CAやパイロットのアレンジがつかない場合は、乗員繰りも起こりうる。
飛行機の手配や乗務員の手配がができないと、当然遅れや欠航に繋がります。
地方の空港は滑走路が短くて大型機が就航できないなど、仮に使える飛行機があっても空港の条件などでその機材が使えないということはよくあることです。
もしもあなたのフライトが機材繰りで遅れたとしても、航空会社が最大限努力をした結果であることをどこかで思い出してくれたら嬉しいです。
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