飛行機って変な形をしている乗り物だと思いませんか?
私は空を見上げては、『ライト兄弟ってホントすごいな~』と感心しています。
今回は、飛行機のバランスについてのお話です。
あなたは前方席に座りたいのに
飛行機のバランスが悪い為、変更できない
とグランドスタッフに、言われた事はありますか?
それはあなたに意地悪をしたくて、断ったわけじゃないんですよ。
飛行機のバランスが悪かったり、座席が汚れていたりと何か事情があったんです。
- 飛行機のバランス管理とは?
- 機内に入ってから座席を変更したい
- お相撲さん団体が飛行機に乗る場合
大型機は、そこまで飛行機のバランスは問題ありません。
しかし小型機(特にプロペラ機やB3などの機種)は飛行機のバランス管理が大切になります。
是非飛行機に乗る際の参考にしてみて下さい。
飛行機がバランス悪いままだとどんなことが起こるかわかる?
う~ん、離陸できない??
そうね、なぜ離陸できないか考えてみましょう。
飛行機のバランス管理とは?
まずは、イメージしてみて下さい。
飛行機を、糸で上から吊り下げた状態を想像して下さい。
糸の位置を色々変えて試すと、バランスを保持できるポイントが見つかります。
それが飛行機の重心と言われています。
シーソーをイメージして頂くをわかりやすいですかね?
重心の位置は飛行機の機種によって異なりますが、だいたい真ん中から少し後ろあたり。
そしてその重心を確認しながら、お客様の座席や貨物の位置を調整しています。
傾きが大きい場合は、飛ぶことができません。
前が重たすぎると、飛行機が浮きにくい。
逆に後ろが重たいと、機首は浮くけどお尻が浮くまでに時間がかかります。
滑走路は永遠に続かない。
日本だと長くて4000mです。
その限られた滑走路長内で、飛行機は飛ばないといけません。
もっと詳しく知りたい人は、パイロットのブログとか見たらいいよ!
燃料は航空機のどこに搭載される?
飛行機の燃料ってどこに搭載されているか知っていますか?
飛行機の燃料は、まず左右の翼に搭載されます。
満タンになった場合は、水平尾翼に積み込まれる仕組みです。
胴体に積まれていると思っている人が多いかと思いますが、燃料って翼に入っているのです!
たまに機内の座席で右側ばかりに人が座っていたら、右側に傾かないのかと聞かれますが、左右の翼には、燃料が搭載してあるので大丈夫です!傾きません!
その為
左右のバランスは気にしていません!
飛行機は前後のバランスが重要なのです。
飛行機のバランスを調整する
飛行機のバランスを調整する部署があります。
主に航務やステーションと呼ばれている部署です。
その人達は、まず貨物や郵便物、お客様の荷物の搭載位置でバランスを調整します。
お客様の予約が前方席に多いから、貨物は後ろに積もう!などと考えています。
ほとんどの事象は、搭載物で調整可能です。
でも、搭載する貨物がない場合もあります。
その場合は、お客様の座席をアレンジしなければなりません。
座席のアレンジの仕事は、グランドスタッフのお仕事。
例えば、前方席の人が多くて、後方席がガラガラの場合。
前方席を希望の場合は、責任者に確認してからチェックインをするようにコントロールをしています。
カウンター係員にも、
「後方席はとっても空いていて、なんと今なら隣の席も空いていますよ~」
など、お客様に後方席をおすすめするよう促します。
話術が大切ですね!
私が働いていた頃、後方席の修学旅行が悪天候の影響で、飛行機に搭乗出来ない事がありました。
その予約は約350名です。
修学旅行生は、後方席から座席を指定するので一気に後方の席がガラガラに!
その時の機材はB777-200でしたが、さすがにバランスが悪くなり焦りましたよ~。
貨物を後方に積んでも、まだバランスが悪い。
「前方席から、空いている後方席に移動してくれる人はいませんか?」
と、理由を説明してアナウンスで呼びかけしました。
すると数名の素敵なお客様が、席の移動を承諾してくれて助かりました!
後方席→前方席は、快く変更して下さるお客様ばかりですが、
前方席→後方席は渋る方もいらっしゃいますので、こちらとしても対応が難しいところ。
快く対応してくれる人は、神に見えましたね!
機内に入ってから、座席の変更をしたい
空港の窓口で聞いた時は、前方通路は予約が入っていると言われたけど、実際に機内に入ったら空いていた!という経験はありますか?
あ~早く降りれる前方席に変更したいな…
その際は、CAに確認してみて下さい。
飛行機の扉が閉まって飛ぶ準備が整ったら、最終のバランスがパイロットに通知されます。
その際に、前方席⇔後方席の移動可能人数も一緒に通知されるので、座席の移動が可能ならOKです。
しかし航空会社(特にLCC)や国際線によっては、そもそも席の移動を禁止しているところもあります。
CAに確認してダメと言われたら、諦めて大人しく今の席に座って下さいね。
座席変更については別の記事でより詳しく書いていますので、参考までに読んでみてください。
余談:お相撲さんなど体格がいい人がいる場合
飛行機に乗るときは、大人1人で約70kg、子供はその半分で計算しています。
これは夏と冬、あとは路線でも異なります。
冬はコートなど衣類が重くなるからね!
え、大人70kgで計算なの?そんなに体重ないわよ!と思っているあなた。
これはあなたの衣服や機内に持ち込む荷物も、ぜ~んぶ合わせての重さです。
海外のとても小さな飛行機に乗るときは、1人1人体重を実測してから乗ることもありますけどね。
日本にあるほとんどの航空会社は、一律でお客様の重さを計算しています!
その為、お相撲さんやラグビー選手など体格の良い人の団体旅行が入った場合、別途その人達の体重を確認してバランスを調整しています。
数名ならまだ大丈夫ですが、お相撲さんが20名!前方席にいる!となると、さすがに計算上の飛行機のバランスと、実際のバランスがあまりにもかけ離れすぎることになりますからね。
滑走中に計算上は、これで機首が上がるのに…あれ?上がらないぞ…ってなったら大惨事。
お相撲さんの巡業などがある場合、旅行会社を通して予約をしてくれます。
そのため、事前に体重が記載された用紙を提出し実体重で計算をしバランスを管理します。
しかし、旅行会社から用紙が提出されないこともあり直前になってバタバタする事態が発生することも。
JALでは臨時便や、大型機に変更した対応をとったけケースもあります。
旅行会社の皆様、スポーツ団体が飛行機に乗る際は、必ず航空会社に連絡をください。
まとめ:『飛行機は前後のバランスが重要』
皆さんは前方の混んでいる席と、ガラガラの後方席、どちらが好きですか?
私は、ガラガラの後方席がいいですね。
- 飛行機は前後のバランスが大切
- バランスが悪い場合は、貨物など搭載物から調整する
- 左右のバランスは気にしていない→左右の翼には燃料が入っているから
- 座席変更のタイミングは機内に入ってから扉が閉まってから!CAに確認。(勝手に変更しちゃダメ!)
- 体型がいい人の団体がいる場合は、事前に内部調整をしている
どう、少しは飛行機の知識が増えましたか?
最終的に、お客様にご協力してもらうんですね!
搭載物で調整をいくら頑張っても、バランスが悪い!
最終手段として、お客様に座席の移動をお願いしているのです。
安全に飛ばしたいので、皆様のご協力をお願いします。
座席移動の依頼があったら、この記事を思い出してご検討ください。